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焦点合成テクニック:キヤノンの現像ソフト DPP 4.10.0 で合成

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キヤノンの現像ソフトウェア Digital Photo Professional (DPP) のバージョン 4.10.0 が2019年2月15日にリリースされました。 このバージョンには「深度合成ツール」という機能が追加されました!新しいミラーレス機 EOS RP にフォーカスブラケット撮影の機能が付いたことに関連しているのでしょう。 この「深度合成ツール」は、ミラーレスの EOS R および RP と一眼レフの5D mark IV で撮影した画像に対してのみ機能するとのことです。 ここでは 5D mark IV で撮影した画像を使ってさっそく「深度合成ツール」を試してみることにします。 前回の「Canon EOS 5D mark IV でのリモート撮影」の際に撮影した二枚貝化石のものをDPPで合成してみました。 手順は何も難しくはありません。DPPのメイン画面で合成に使用する複数の画像を選択して、「ツール」メニューから「深度合成」>「深度合成ツールを起動」を選びます(1)。パラメータ(3種)の設定画面(2)が出てきますが、パラメータの検証はまだしていないので、とりあえずデフォルトのままにして「実行」を押します。しばし待てば合成画像が出来上がります。 ※RAW画像ファイルに対しても合成処理が可能です(その場合も 出来上がる画像はJPGになります)。 (1)「深度合成ツールを起動」を選択 (2)パラメータ設定画面 とりあえず試して出来上がったものがこれです。 これでうまくいっていれば万々歳ですね。 しかし、すぐに変なところに気づいてしまいました。 殻頂部の不具合 稜の部分の不具合 二枚貝の殻頂部の輪郭がモヤっとして変になっています。殻頂から前方へのびる稜の部分にもモヤっとしたところが生じています。急な高低差があるようなところの処理がうまくいかないようです。合成時のパラメータを少しいじってみましたが、試した限りではどの値に設定しても解消されませんでした。 「深度合成編集ツール」というのがあるのでレタッチが可能だと思いますが、何も手をかけずに合成画像が完成するという結果には残念ながらなりませんでした。 試しに Zerene Stacker の2つの合成アルゴリズムの1...

焦点合成テクニック:Canon EOS 5D mark IV でのリモート撮影

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EOS 5D Mark IV のようなキヤノンの一眼レフカメラには、最新のオリンパス機やニコン機の「フォーカスブラケット撮影」または「フォーカスシフト撮影」のような撮影機能が備わっていません。 したがってキヤノンの一眼レフで焦点合成のための撮影を行う時は、焦点をずらす操作を手動で行わなければならず、手間がかかります。 しかし、キヤノンの一眼レフでも、オートフォーカスレンズとの組み合わせでは、カメラをコンピュータと接続してリモート撮影(「リモートライブビュー撮影」)を行うことで、かなり楽に撮影をすることができます。 今回は、キヤノンの一眼レフ EOS 5D mark IV を使った焦点合成のためのリモート撮影(「リモートライブビュー撮影」)の方法を紹介します。 ※2019年3月に新発売となるキヤノンのミラーレスカメラ EOS RP は「フォーカスブラケット撮影」が可能のようです!詳細はまだ不明です。 ※「リモートライブビュー撮影」は、リモート撮影の中でも、コンピュータのモニター上で被写体を確認しながら操作できる機能です。 「リモートライブビュー撮影」は、EOS 20D 等の古い一眼レフだと対応していません。ミラーレス機では、EOS R やKiss M は対応していますが、M6等は対応していないようです。 EOS Utility を用意する キヤノン機でコンピュータと接続してリモート撮影を行うためには、キヤノンのソフトウェア EOS Utility が必要です。 EOS Utility の入手、インストールについてはキヤノンのホームページを参照してください。EOS Utility はユーザーであれば無料で入手できます。 カメラとコンピュータを接続する EOS 5D mark IV とコンピュータを接続する方法は、カメラ付属のインターフェースケーブル(USB 3.0)を使った有線接続と、カメラ内臓の通信機能(Wi-Fi機能)を使った無線接続があります。 有線接続は、ケーブルでカメラとコンピュータをつなぐだけでよいので、接続の仕方がとても明快で、接続中も安心感がありますが、ケーブルの長さが十分でなかったり、ケーブルが邪魔になったりして、不都合な場合もあります。ノート型コンピュータを使うと便利ですね。 無線接続...

焦点合成テクニック:Zerene Stacker の合成方法による違い(PMaxとDMap)

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Zerene Stacker にはアルゴリズムの違いによる2つの合成方法が用意されています。 「PMax」と「DMap」の2種類です。 「PMax」は「Pyramid maximum contrast」というアルゴリズム、「DMap」は depth map のアルゴリズムを用いているとなっています。 「PMax」と「DMap」の結果の違い 三葉虫化石の例で、2つの合成方法の結果を比べてみます。三葉虫の右目の柄の辺りを見てみます。参考のために、合成に使われた元画像の当該部分も載せています。 DMap の結果 PMax の結果 元画像の当該部分 DMap の場合、目の柄のテクスチャの一部が省略されて滑らかに(のっぺりと)なっているようなところが生じています。細部の表現は PMax の方が良さそうです。 また、DMap では三葉虫の輪郭の外側にぼやけた部分が生じて縁取りがされているような感じになっています。 今まで試した限りでは PMax を使う方が良い結果になるようです。 DMap がどのような場合に有効なのか、まだよくわかりません。 Zerene Stacker のホームページの解説によると、 PMax はノイズとコントラストを増加させる傾向があり、色を少し変える可能性があるとのことです。DMap は元画像の滑らかさと色をそのまま保つのには良いとなっています。また、DMap の結果で不具合な箇所を PMax の結果を使ってレタッチするという例が紹介されています。 「DMap」の操作手順 DMap の操作手順を載せておきます。 ※ PMax の操作手順は「 焦点合成テクニック:OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II を使う(Zerene Stacker による合成手順) 」に載せてあります。 「Stack」メニューから「Align & Stack All (DMap)」を選んでクリックすれば、処理がスタートします(1)。 PMax の処理は前半と後半に分かれていて、前半は下絵みたいなものなのでしょうか、「draft quality」で合成されたものが画面右側に表示されていきます(2)。 (1)「Stack」メニューの「Align & Stack Al...

焦点合成テクニック:OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II を使う(絞りの違いによる合成結果の比較)

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撮影時のレンズの絞りの違いによって合成結果がどう変わるのか比べてみました。 カメラは OLYMPUS OM-D E-M5 II、レンズは M.ZUIKO 60mm  F2.8 Macroです。 フォーカスブラケット撮影のフォーカスステップはどれも1に設定。 レンズの絞り値をF2.8(開放)、F4、F5.6、F8、F11の5段階で撮影しました。 被写体の全部に焦点が移動するために必要な撮影枚数は、それぞれ、130枚、89枚、65枚、45枚、36枚でした。 焦点合成は Zerene Stacker の PMax を用いています。 1.解像感の違い 絞り値がF2.8(開放)、F4、F5.6の場合に比べて、F8では解像感が少し悪くなっています。F11ではより悪くなっています。 絞り込みによる解像度の低下は合成結果にも現れるようです。 ※掲載した画像は元の合成画像のおよそ1/3の部分をトリミングしたものです。 F2.8で撮影 F4で撮影 F5.6で撮影 F8で撮影 F11で撮影 2.目の柄の辺りの状態 三葉虫の目の柄の辺りの様子を見てみます。 柄と母岩の縁が交差するところで、背景側に、何か光芒のようなモヤっとしたものが生じています。これはF2.8やF4の絞りが開放に近い時に顕著で、F8やF11ではあまり目立たなくなっています。 また、柄と母岩の縁が交差するところから下側にかけて、柄の縁の部分が実は変なことになっています。柄の両縁に背後の母岩部のテクスチャが混ざり込んでいて、半分透けて見えているような状態になっています。 これもF2.8やF4の絞りが開放に近い時に顕著で、F8やF11ではあまり目立たなくなっています。 どちらの不具合でも、合成する画像のボケが大きいほどそのようなことになりやすいのだと思います(後掲の「絞りによるボケ具合の違い」を参照)。 あまりボケが大きい画像を使うのは合成には良くないのかもしれません。 Zenere Stacker では、合成処理をした後、レタッチ操作をすることで、これらの不具合を修正することができます。 今まで操作してみたところでは、後者の透けて見えているような箇所の修正は、的確に行えば問題なく綺麗...

焦点合成テクニック:OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II を使う(Zerene Stacker による合成手順)

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完成した焦点合成画像。OLYMPUS OM-D E-M5 II, 60mm Macro, F5.6, Zerene Stacker, PMax, 40枚を合成, レタッチあり 焦点をずらして撮影した写真が用意できたら、いよいよ合成の作業に移ります。 焦点合成専用ソフトウェア:Zerene Stacker 焦点合成のための専用のソフトウェアはいくつか知られていますが、ここでは Zerene Stacker を使用します。 Zerene Stacker は有料のソフトウェアで、利用形態によって、Personal Edition ($89)、Prosumer Edition ($189)、Professional Edition ($289) のグレード分けがされています。 インタネットからダウンロードして、30日間のフリートライアルが可能です。 Zerene Stacker による合成処理の手順 Zerene Stacker を起動したら、「File」メニューの「Add File(s)」をクリックし(1)、開いたウィンドウで、準備した一連の写真を複数選択して「Open」をクリックします(2)。一連の写真が読み込まれ、左側の「Input Files」の欄にリストアップされて、そのうちの選択状態の一つの画像が中央左側に表示されます(3)。 フォルダーやファイルを「Input Files」欄にドロップする操作でも画像ファイルを読み込むことができます。 (1)「Add File(s)」をクリック (2)一連の画像を複数選択して「Open」をクリック (3)一連の画像が読み込まれます もしファイルを追加したければさらに「Add File(s)」を実行します。 次に「Stack」メニューの「Align & Stack All (PMax)」をクリックすれば(4)、合成処理が開始されます。 ここで、読み込んだファイルの一部を使わずに合成したい時は、「Input Files」のリストで必要なものだけを選択し、「Stack」メニューの「Stack Selected (PMax)」を実行すれば良いです。 右側のウィンドウでは、合成が進行して次第にピントが全体に合っていく様子が表示され...