撮影時のレンズの絞りの違いによって合成結果がどう変わるのか比べてみました。
カメラは OLYMPUS OM-D E-M5 II、レンズは M.ZUIKO 60mm F2.8 Macroです。
フォーカスブラケット撮影のフォーカスステップはどれも1に設定。
レンズの絞り値をF2.8(開放)、F4、F5.6、F8、F11の5段階で撮影しました。
被写体の全部に焦点が移動するために必要な撮影枚数は、それぞれ、130枚、89枚、65枚、45枚、36枚でした。
焦点合成は Zerene Stacker の PMax を用いています。
1.解像感の違い
絞り値がF2.8(開放)、F4、F5.6の場合に比べて、F8では解像感が少し悪くなっています。F11ではより悪くなっています。
絞り込みによる解像度の低下は合成結果にも現れるようです。
※掲載した画像は元の合成画像のおよそ1/3の部分をトリミングしたものです。
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F2.8で撮影 |
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F4で撮影 |
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F5.6で撮影 |
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F8で撮影 |
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F11で撮影 |
2.目の柄の辺りの状態
三葉虫の目の柄の辺りの様子を見てみます。
柄と母岩の縁が交差するところで、背景側に、何か光芒のようなモヤっとしたものが生じています。これはF2.8やF4の絞りが開放に近い時に顕著で、F8やF11ではあまり目立たなくなっています。
また、柄と母岩の縁が交差するところから下側にかけて、柄の縁の部分が実は変なことになっています。柄の両縁に背後の母岩部のテクスチャが混ざり込んでいて、半分透けて見えているような状態になっています。
これもF2.8やF4の絞りが開放に近い時に顕著で、F8やF11ではあまり目立たなくなっています。
どちらの不具合でも、合成する画像のボケが大きいほどそのようなことになりやすいのだと思います(後掲の「絞りによるボケ具合の違い」を参照)。
あまりボケが大きい画像を使うのは合成には良くないのかもしれません。
Zenere Stacker では、合成処理をした後、レタッチ操作をすることで、これらの不具合を修正することができます。
今まで操作してみたところでは、後者の透けて見えているような箇所の修正は、的確に行えば問題なく綺麗に修正できます。前者のモヤっとした箇所の修正は、すっきり綺麗にするのはなかなか難しいと感じています。
※掲載した画像は元の合成画像のおよそ1/6の部分をトリミングしたものです(三葉虫の右目の柄の部分)。
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F2.8で撮影 |
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F4で撮影 |
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F5.6で撮影 |
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F8で撮影 |
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F11で撮影 |
(参考)絞りによるボケ具合の違い
合成に使用したコマのうちで、柄の背後の母岩の縁にピントが合っているコマを、F2.8とF11で撮影したもので比べてみます。柄の部分のボケ具合の差、柄の後ろの母岩の写り具合の差を見てください。
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F2.8 |
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F11 |
3.まとめ
合成でのボケの悪影響を少なくするには、F11とかのボケの小さくなる絞り値で撮影したものの方が良いのでしょう。合成後のレタッチをしなくて済むのは有利なのかもしれません。
しかし、せっかく焦点合成で鮮鋭な画像を得たかったのに、絞り込んで撮影したものを使用して解像感が悪くなってしまうのは残念なことです。
今のところの結論としては、F5.6あたりで撮影したものを使って、合成の不具合はレタッチで修正するということになりそうです。
念のため撮影時には絞りを変えて撮っておこうと思います。
合成画像の全体
合成画像の全体です。レタッチは施していません。
背景までは焦点を合わせていないので、合成結果の背景の様子(ボケ具合)は異なります。
なお、F11の撮影時のみ、背景の黒っぽい紙の位置を少しずらしており、アングルもわずかに違っています。
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F2.8で撮影,130枚を焦点合成 |
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F4で撮影,89枚を焦点合成 |
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F5.6で撮影,65枚を焦点合成 |
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F8で撮影,45枚を焦点合成 |
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F11で撮影,36枚を焦点合成 |