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焦点合成テクニック:Zerene Stacker の合成方法による違い(PMaxとDMap)

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Zerene Stacker にはアルゴリズムの違いによる2つの合成方法が用意されています。 「PMax」と「DMap」の2種類です。 「PMax」は「Pyramid maximum contrast」というアルゴリズム、「DMap」は depth map のアルゴリズムを用いているとなっています。 「PMax」と「DMap」の結果の違い 三葉虫化石の例で、2つの合成方法の結果を比べてみます。三葉虫の右目の柄の辺りを見てみます。参考のために、合成に使われた元画像の当該部分も載せています。 DMap の結果 PMax の結果 元画像の当該部分 DMap の場合、目の柄のテクスチャの一部が省略されて滑らかに(のっぺりと)なっているようなところが生じています。細部の表現は PMax の方が良さそうです。 また、DMap では三葉虫の輪郭の外側にぼやけた部分が生じて縁取りがされているような感じになっています。 今まで試した限りでは PMax を使う方が良い結果になるようです。 DMap がどのような場合に有効なのか、まだよくわかりません。 Zerene Stacker のホームページの解説によると、 PMax はノイズとコントラストを増加させる傾向があり、色を少し変える可能性があるとのことです。DMap は元画像の滑らかさと色をそのまま保つのには良いとなっています。また、DMap の結果で不具合な箇所を PMax の結果を使ってレタッチするという例が紹介されています。 「DMap」の操作手順 DMap の操作手順を載せておきます。 ※ PMax の操作手順は「 焦点合成テクニック:OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II を使う(Zerene Stacker による合成手順) 」に載せてあります。 「Stack」メニューから「Align & Stack All (DMap)」を選んでクリックすれば、処理がスタートします(1)。 PMax の処理は前半と後半に分かれていて、前半は下絵みたいなものなのでしょうか、「draft quality」で合成されたものが画面右側に表示されていきます(2)。 (1)「Stack」メニューの「Align & Stack Al...

焦点合成テクニック:OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II を使う(絞りの違いによる合成結果の比較)

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撮影時のレンズの絞りの違いによって合成結果がどう変わるのか比べてみました。 カメラは OLYMPUS OM-D E-M5 II、レンズは M.ZUIKO 60mm  F2.8 Macroです。 フォーカスブラケット撮影のフォーカスステップはどれも1に設定。 レンズの絞り値をF2.8(開放)、F4、F5.6、F8、F11の5段階で撮影しました。 被写体の全部に焦点が移動するために必要な撮影枚数は、それぞれ、130枚、89枚、65枚、45枚、36枚でした。 焦点合成は Zerene Stacker の PMax を用いています。 1.解像感の違い 絞り値がF2.8(開放)、F4、F5.6の場合に比べて、F8では解像感が少し悪くなっています。F11ではより悪くなっています。 絞り込みによる解像度の低下は合成結果にも現れるようです。 ※掲載した画像は元の合成画像のおよそ1/3の部分をトリミングしたものです。 F2.8で撮影 F4で撮影 F5.6で撮影 F8で撮影 F11で撮影 2.目の柄の辺りの状態 三葉虫の目の柄の辺りの様子を見てみます。 柄と母岩の縁が交差するところで、背景側に、何か光芒のようなモヤっとしたものが生じています。これはF2.8やF4の絞りが開放に近い時に顕著で、F8やF11ではあまり目立たなくなっています。 また、柄と母岩の縁が交差するところから下側にかけて、柄の縁の部分が実は変なことになっています。柄の両縁に背後の母岩部のテクスチャが混ざり込んでいて、半分透けて見えているような状態になっています。 これもF2.8やF4の絞りが開放に近い時に顕著で、F8やF11ではあまり目立たなくなっています。 どちらの不具合でも、合成する画像のボケが大きいほどそのようなことになりやすいのだと思います(後掲の「絞りによるボケ具合の違い」を参照)。 あまりボケが大きい画像を使うのは合成には良くないのかもしれません。 Zenere Stacker では、合成処理をした後、レタッチ操作をすることで、これらの不具合を修正することができます。 今まで操作してみたところでは、後者の透けて見えているような箇所の修正は、的確に行えば問題なく綺麗...

焦点合成テクニック:OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II を使う(Zerene Stacker による合成手順)

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完成した焦点合成画像。OLYMPUS OM-D E-M5 II, 60mm Macro, F5.6, Zerene Stacker, PMax, 40枚を合成, レタッチあり 焦点をずらして撮影した写真が用意できたら、いよいよ合成の作業に移ります。 焦点合成専用ソフトウェア:Zerene Stacker 焦点合成のための専用のソフトウェアはいくつか知られていますが、ここでは Zerene Stacker を使用します。 Zerene Stacker は有料のソフトウェアで、利用形態によって、Personal Edition ($89)、Prosumer Edition ($189)、Professional Edition ($289) のグレード分けがされています。 インタネットからダウンロードして、30日間のフリートライアルが可能です。 Zerene Stacker による合成処理の手順 Zerene Stacker を起動したら、「File」メニューの「Add File(s)」をクリックし(1)、開いたウィンドウで、準備した一連の写真を複数選択して「Open」をクリックします(2)。一連の写真が読み込まれ、左側の「Input Files」の欄にリストアップされて、そのうちの選択状態の一つの画像が中央左側に表示されます(3)。 フォルダーやファイルを「Input Files」欄にドロップする操作でも画像ファイルを読み込むことができます。 (1)「Add File(s)」をクリック (2)一連の画像を複数選択して「Open」をクリック (3)一連の画像が読み込まれます もしファイルを追加したければさらに「Add File(s)」を実行します。 次に「Stack」メニューの「Align & Stack All (PMax)」をクリックすれば(4)、合成処理が開始されます。 ここで、読み込んだファイルの一部を使わずに合成したい時は、「Input Files」のリストで必要なものだけを選択し、「Stack」メニューの「Stack Selected (PMax)」を実行すれば良いです。 右側のウィンドウでは、合成が進行して次第にピントが全体に合っていく様子が表示され...

焦点合成テクニック:OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II を使う(撮影手順)

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OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II,M.ZUIKO 60mm F2.8 Macro オリンパスのフォーカスブラケット撮影機能 オリンパスのミラーレス一眼カメラには、自動で焦点の位置を少しずつずらしながら撮影をおこなう「フォーカスブラケット撮影(Focus bracketing)」の機能が備わっているものがあります。OM-D E-M1 Mark II や同 E-M5 Mark II、PEN-Fなどです。 フォーカスブラケットの機能を使えば、焦点位置をずらした何十枚もの写真が1回シャッターボタンを押すだけで出来上がるので、焦点合成のための撮影が非常に楽になります。 ここでは E-M5 Mark II によるフォーカスブラケット撮影のやり方と、その後の焦点合成の結果を紹介します。 ※E-M5 Mark II の場合、フォーカスブラケット機能は新規発売当初にはありませんでしたが、後のファームウェアのバージョンアップ(Ver2.0)によって追加されました。さらに後のバージョンアップ(Ver4.0)では、カメラ内で合成処理まで行う簡易な焦点合成の機能「深度合成機能」も追加されています。 フォーカスブラケット撮影の概要 フォーカスブラケット撮影の概要は次のようになります。詳しくは次の項で説明します。カメラは三脚等に固定するのが基本です。 カメラの撮影メニューで、「ブラケット撮影」の中の「Focus BKT」に設定する 「Focus BKT」の詳細設定で、「撮影枚数」と「フォーカスステップ数」を適宜設定する(例えば撮影枚数:50、ステップ数:1) 被写体の一番手前にピントを合わせる シャッターボタンを押す これで1回シャッターを押すだけでセットした撮影枚数分の焦点位置の異なる写真が出来上がります。シャッタースピードによりますが、数秒待てば出来上がりです。 撮影モードは絞り優先オートで良いでしょう。絞り値は適宜です(例えばF5.6)。必要に応じて露出補正をかけます。マニュアルモードでもオーケーです。 このフォーカスブラケットでは、最初にピントを合わせた位置から奥に向かって焦点位置が次第にずれて撮影されていきます。ですので、最初に被写体の一番手前のところにピントを合わせる必要があります。...